成果レポート

【プログラム実施内容】

「グローバル人材育成」、「国際交流ネットワーク」、「地域振興」に関する講義、演習、視察、発表を地域の人材・施設等を徹底的に活用して実施しました。

「基調講義」では、沖縄とアジアの将来像、人材育成について、実行委員会委員長、JICA沖縄、民間企業による各分野のフロントランナーから触発を受けました。

「グローバル人材育成」においては、次世代リーダーとして必要なスキルとして、地域課題解決方法やプレゼンテーションなどの手法を習得しました。特にコミュニケーションにおいては言葉だけでなくノンバーバルコミュニケーションが重要となることから「チームビルディングワークショップ」の導入や「ブラインドハイク」、「サンド造形ワークショップ」などを行いチーム内でのコミュニケーション能力の向上を図りました。グループディスカッションⅣ~Ⅵでは、①この事業で学んだこと、②学んだことを自国に持ち帰り将来に活かすこと、③このネットワークを継続すること、の3つの成果をグループディスカッションでまとめ、最終成果発表に向けたプレゼンテーションを作成し最終日に成果発表を行いました。

「国際交流ネットワークの発展」においては、チームビルディング、グループディスカッション、3市村での交流会などの体験を踏まえたネットワーク形成を図りました。

「地域振興」においては、3市村の首長表敬をはじめ、地域に関する講義・視察を採り入れました。グループディスカッションⅠ~Ⅲでは、①何を見聞き体験したのかを洗い出す(ペアインタビュー)、②地域の取り組みから地域の魅力を整理する、というステップを通じて南城市、渡嘉敷村、伊江村の地域研究を行いました。参加者が地域を深く知ることで愛着を育み地域ファンになることを企図し、伊江村では「地域の魅力を広報しよう」、南城市では「1泊2日の観光プランを作ろう」、渡嘉敷村では「マスコットを作ろう」とテーマを設定しディスカッションと成果発表を行いました。

 

【プログラム全体評価】

プログラム後のアンケートから、【事業全体の評価項目】に全参加者が「将来の人生に影響を与えた」、「国際社会の一員として社会のために役に立つ行動をしようという意欲が強くなった」、「南城市、伊江村、渡嘉敷村の地域ファンになった」と回答した。

【グローバル人材としての成長】面では、「コミュニケーション力」、「リーダーシップ」、「ティスカッション能力の向上」などで9 割以上が有効であったと回答している。

【国際交流ネットワークの形成】については、手段として「ソーシャルメディアの活用」、「国際開発活動や文化的課題を議論する団体を提案」、「AYNIT のようなプログラムを一緒に作る」、「沖縄に戻ってくる!」、「永遠に忘れない」が挙げられ、相互の友好・信頼関係を象徴するエピソードとして「毎日どの瞬間をとっても本当に良かった」、「夜遅くまで語り合った」、「信頼関係と強い友情関係が生れた」、「エイサーをお互いで教え合った」、「家族みたいな友達になれた」、「異文化についてお互い学び合い、最初は理解できなかったこともお互いで助け合えた」、「ディスカッションでいろんな所を褒めてくれた」、「お互いを尊敬しあうこと」、「最後の夜、みんなで泣きました」など力強い言葉が述べられた。

プログラムの最初のうちは英語の話せるアジアの参加者、英語の話せない日本の参加者の間でギャップがあり、両者ともに言葉が通じないという壁を感じていた。日を追うごとにアジアの参加者は分かりやすい英語を使うようになり、日本の参加者は努力して単語や文節を準備し一生懸命に伝えようとしたことでお互いの歩み寄りが生まれた。そうした歩み寄りの中で英語を学んでいる日本参加者にアジアの参加者が英語を教える、またお互いの母国語を教えあうなどのお互いのコミュニケーションが高まっていった。グローバル人材として多様な相手を尊重する心を身につけることができたとえいる。また、このネットワークを将来に生かしていく方法として、「学校レベルでの交換プログラムを作成したい」、「グローバル問題について解決できるような取組を積極的に行う!」などが報告されている。

プログラム最終日のキャンプファイヤーはグループの仲間とチューターとの別れを惜しむ場となった。キャンプファイヤーのプログラムが終わっても参加者全員がいつまでも肩を組み合って号泣していた。このように仲間との別れがつらくて大泣きする機会もそう多くないと思われ、参加者の一体感はこの場で最高潮に達した。このネットワークは彼・彼女らの人生で一生のものになると確信できた。

既にこのAYNIT ネットワークは参加者とチューターからなる約60 人が参加するSNS 上で形成されており、お互いの誕生日を祝ったり、何気ない話をしたり、アジアの青年リーダーのグループをつくる動きも見られ、この関係は一生の間、続いていくと考えている。

【地域振興につながるプログラム】については、「問題解決力」、「国際的視野を持ち地域活性化に貢献する人材」、「地域の国際化・地域経済に貢献する人材」としてほぼ全員が能力が高まったと評価した。沖縄の参加者にとっては故郷である沖縄県で実施されたプログラムであり、彼・彼女らにとって、地元にどのような課題があり、その課題をどのように解決をするのかを考える機会となった。海外、県外の参加者にとっても3 市村からの学びが問題解決力の向上や地域活性化・地域の国際化へ貢献する人材としての成長をもたらしたといえる。

プログラム終了後も、参加者やチューターなどの事業関係者がお互いの国で行き来し香港、インド、フィリピンで再会を果たし絆を確認しており、AYNIT ネットワークは強固に構築されている。以上のことから、本プログラムは、企図した通りの「人材育成」と「ネットワーク構築」、「地域振興への貢献」に寄与しており、事業目標は達成できた評価している。

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